2012.10.21

四人だが誤認逮捕


PC遠隔操作事件で警察は四人にも及ぶ誤認逮捕を行った。これに関して私もPCやネットワークサポートを行うので人からよく聞かれる。PCの素人の人には「デキる暇人には対抗出来ない」と言って諦めてもらっている。ウイルス対策ソフトも個人的には気休めで、ウイルス感染した際に「対策ソフト入れていたんですけどね…」と言い訳するためのソフトだと思っている。Win機で金をかけたくないならMicrosoft Security EssentialsAVGAvastの無料版でも使えばいいと思う。道を歩いていて人に刺される可能性もあるがそれを怖がっていたら外出出来ない。そんな様なもんだ。

今回はウイルスの中でもトロイの木馬型のソフトがダウンロード(DL)したソフトに混入していたらしい。どうやら2chからPCの安定化ソフトを聞いてそのリンク先にそれがあった模様だ。DLするソフトはフリーだから良くないわけではない。私もフリーのソフトはよく使っている。ただ、それらは老舗の所からDLすることを勧める。例えば窓の杜Vectorなど。

ただ遠隔操作のソフトは世間にはいっぱいあり普通に使われている。MSでもPro版以上なら標準でリモートデスクトップという機能があり、他にもVNC(お勧めはUltraVNC)や有料ならLAPLINKSymantec pcAnywhereなどがある。もちろんMac用のソフトもあるし、UNIX/Linuxで考えるとそもそもX windowが遠隔操作のソフトと言っても過言ではない。つまり遠隔操作のソフトを全て排除することは意外に難しいし、全てが悪ではない。事実私も使用している。まぁ、ファイルを探すくらいで自分の家のPCの画面を遠隔操作することは実際にはほとんどないが。

捜査手法の問題

今回の最大の問題点は警察の捜査能力の問題とストーリー通りに調書を作文して無理矢理な取り調べを依然としていてることだ。犯人は正にそのことを言いたかったのだろうと思う。

まず、IPアドレス万能主義だ。私も少し前に存在を知ったのだがTor(トーア)という経路を匿名化するサービスがネット上にある。これはジャーナリストやスパイ、WikiLeaksに情報を送る際にも使われたと聞いている。他にもネットワークへの侵入方法はいくらでもある。例えば、都心に行ってそこで受信可能なWEPの無線LANをクラックしてそこから入る方法が一番たやすい。無線LANのWEPは現在のPCでは数秒から数十秒で破ることが可能と聞いている。だからWEP管理の所は少なくともWPAに変更することをお勧めする。WEPは「山」、「川」くらいのセキュリティだと思っておいて間違いない。でないとこういう踏み台にされる。踏み台にされて誤認逮捕される可能性も十分ある。多分、真犯人は家のPCからTorにつないだのではなく、外出してどこかの無線LANを破ってからTorを使ったのではないかと推測している。

この様にIPアドレスで誰がやったのか判断することは非常に難しいのに、それがあたかも(現代の)DNA判定や指紋の様に思っていることが間違いである。IPアドレスはどこのポストから郵便を投函したのか…程度の情報だと思った方がいい。経由地のサーバでログが残っていなかったり、そのサーバ自体の存在が消えたりすれば追跡不能になる。

もしIPアドレスが判明すれば、捜査は半分終わったようなものだと勘違いしていたというのなら、それはサイバー関係の捜査官とは言えないし、むしろそういう状況を知っていたのにも関わらずIPアドレスで犯人を特定できるというフリをしていたと言うことではないかとも勘ぐられてしまう。尿検査で覚醒剤反応が出たのと訳が違う。私はそういう状況だと知っていて捜査が面倒なので見て見ぬふりをしていたのではないかと考えている。

自白偏重主義が最大の問題

それよりも本質的な問題は先にも述べたとおり、警察が作文して検察は何の精査もせずに右から左へ流し起訴までしたことだ。そして裁判官が判決を下している(1件のみ、他は起訴取り下げや起訴まで至っていない)。自分がやっていないのに逮捕されて架空の物語を突きつけられて本当に可哀想に思う。何で無実なのに自白したのかという人もいるが、この程度の事件だと起訴されれば釈放や場合によっては書類送検とかもあるかも知れない。そもそもその凶行は実際に行われていないわけだし。で、早く自白・こちらの言うとおりの調書にサインしたら直ぐに釈放するよと言っていたのだろう。警察もPCを押収するのに逮捕しないと行けなかったんだろうが、個人的には逮捕する必要があったのかな?と言う案件だ。だって真犯人だったら実行した次の日にはPCにその痕跡を残していないだろうから。

よってここで考えられるのは、警察が高圧的な尋問の中、誘導的に調書を作文したのは確実だと言うことである。捕まった人は中身を知らないんだから供述のしようがないわけなのに。ここで旧態依然の捜査手法が真犯人によって露呈させられており、残念ながら真犯人の意に沿った状態になっている。逆説的には科学的な手法を使って十分な証拠固めが出来ないから自白偏重主義になると思ってもいいのかも知れない。

真犯人は何を考えたのだろうか

ここからは私の想像であるが、真犯人の意図と私の考えを重ねて述べてみたい。

警察ではないがホリエモンの逮捕・有罪の問題で私は彼はそれに値しないと思っている。企業の社長なら売り上げを上げろと発破もかけるだろうし、彼が不正を行ってでもする必要性がそこまでなかったのではないかと思う。で、彼が逮捕されて有罪で執行猶予のない実刑なら、

ライブドア事件: 53億円

日興コーディアル粉飾決算事件: 189億円

カネボウ: 800億円

とバランスが取れていない。日興コーディアルは検察は動いていなくて上場廃止にもなっていない。新聞では当日か翌日に「上場廃止か!?」とは出ていたが。これらも逮捕・実刑・上場廃止にならなければ気に入らない奴を捕まえてぶち込むと言う誹りからは逃れられない。

他にも厚生労働省の村木厚子局長が不当逮捕された障害者郵便制度悪用事件もいつの間にかフロッピーディスクの改ざん事件にすり替わっていて、検察は主任検事・前田恒彦、および上司の特捜部長・大坪弘道、特捜副部長・佐賀元明が悪人で検察の組織的関与はないよ的な態度である。いやいやいや、そもそもFD改ざんってFDは証拠採用もされていないし、それがあろうがなかろうが彼女が逮捕されて監禁されたのは変わりがない。多分、そこから小沢一郎につながっていると思ったのであろうが、恣意的にそういう事をしていたわけで、辻褄を合わせるためにFD改ざんをしたわけだ。問題の本質はFD改ざんではない。自分の気に入らない人を捕まえるために傍若無人に振る舞っている検察だ。面白いのは捕まった検察の人たちは警察や検察が反対している「取り調べの可視化」をまず最初に要求したこと。それをもっても彼らが普段どういう取り調べをしているのか窺い知れる。

そしてもう一つの問題点は警察や検察から情報が欲しいマスコミは警察や検察を叩かないことだ。障害者郵便制度悪用事件でも捕まった元検察官は叩くが組織として不当逮捕したことについて突っ込んで追求している所はない。今回の遠隔操作という言葉が出た時点でも作文して調書を作ったことは容易に想像できたが、最近になって一部の報道機関は定型文の様な批判記事は書いている様だ(東京新聞:社説)。それかマスコミも馬鹿すぎて、自分のあずかり知らない事件で不当な取り調べをされて不当逮捕された人が独りでに超能力の様に「こういう事をしました」と“自供”したと思っているのか?

最後に

真犯人を庇うつもりは一切ないが、警察や検察が稚拙な思い込み捜査の上で不当な取り調べをしていることを露呈させたかったのだろう。そして実際にそうだった。CIAやFBIでもクラッキングされるわけで先にも言ったとおりデキる暇人には対抗出来ない。コンピューター犯罪はそう言うことを念頭に置いて捜査する必要がある。

この手のずさんな捜査は特別公務員職権乱用罪や虚偽公文書作成罪でしょっ引かなければ減ることはないだろう。それを躊躇して真犯人を取り逃がすリスクもあるが、それと不当逮捕とえん罪は同じくらい罪な物だと思う。警察は今回不当逮捕した人たちに謝罪する様だが謝って済むなら警察はいらない。十分な捜査をしていない限り「誤認逮捕」ではなく「不当逮捕」だ。そして何の精査もせずに逮捕状を発行した裁判官も同様の罪があるはずだ。

ミッション:インポッシブルの1でPC担当のルーサーとトム・クルーズ演じるイーサンはこういう会話をしている。

イーサン

(君は)NATOのシステムを破ったただ一人の男だ。
ルーサー

だが俺がやったという証拠は何一つない。
あれはどこかの天才がやったんだ(笑)

 

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